メインindex>第五話 「発進前夜」

N:西暦2210年、地球防衛軍は太陽系にせまりつつある移動性サルガッソーを   確認した。その調査するため派遣された調査船団は、銀河系中心部で   謎の艦隊の攻撃を受けた。   極秘建造中のヤマトのある火星基地近くのアルカディア居住地区も、   艦載機による攻撃を受け、古代の妻ユキと息子タケルがさらわれた。   火星の地下秘密ドッグで完成した新宇宙戦艦ヤマトは、サルガッソー調査と   謎の敵の正体を解明するため、発進準備を急いでいた。   一方、スサノオ帝国に囚われの身となったユキとタケルは・・・。 〜スサノオ帝国・銀河系前線基地〜 ルバルス:アスカ提督、太陽系火星にて地球人を捕獲しました。 アスカ提督:確かに古代進の妻子なのだな。 ルバルス:はい、まちがいありません。ヤマト乗組員の古代の妻「ユキ」と 息子「タケル」と確認致しました。 アスカ提督:よし、良くやった。 ルバルス:火星に更に攻撃を加えますか? アスカ提督:いや、必要ない。二人を捕らえたことで戦いやすくなった。 大事な人質だ。手厚く保護しろ。 スサノオ兵A、B:はっ!かしこまりました! 〜ユキとタケルの牢獄〜 警備兵A:食事の時間だ。出ろ! ユキ:・・・。 怯えるタケル 警備兵A:食堂へ案内する。何でも好きなものを食べろ。 ユキ:? タケル:ママ、何でも食べていいの? ユキ:ママが先に食べるわ、毒が入っているかもしれないから。 タケル:毒? 警備兵A:安心しろ!アスカ提督からの命令で、お前達は大切な人質だから、      手厚く保護しろとのことだ。毒など入っておらん。 ユキ:あなた達は一体なにものなの? 警備兵A:何も知らんのか? タケル:お前達なんかパパがやっつけるぞ!パパは強いヤマトの戦士     だからね! 警備兵A:ヤマト?あの白色彗星やディンギルを破ったという艦か?      ハハハハ!それも既にないではないか! タケル:ヤマトはあるよ!ヤマトは生きてるんだ! ユキ:タケル、やめなさい! 警備兵A:我々スサノオ帝国はお前達地球人と同じ人間だ。 ユキ:私たちと同じ? 警備兵A:いずれわかる、生きていればだがな、ははは! 警備兵を睨みつける猛 〜火星基地上空・第三パトロール艇K201〜 島次郎:こちら第三パトロール艇K201、まもなく火星軌道に到達しますので、     誘導お願いします。 揚羽:次郎君?その声は次郎君でしょ? 島:あっ子?あっ子なのか? 揚羽:そうよ! 島:火星基地勤務とは聞いてたけど、まさか通信センターとはなぁ。 藤堂相談役:次郎君・・・。 島:ああ、すみません。彼女、揚羽明子さんていうんですよ。   宇宙戦士訓練学校で同期でした。女のくせにいつも僕より成績が上で。 揚羽:ちょっと!女のくせにってなによ! 島:おお怖!彼女、お兄さんをボラーとの交戦で亡くしてるんです。 伊藤長官:揚羽武君の妹か・・・。君と同じヤマトファミリーというわけか。 島:ええ。最初は砲術班希望でしたが、今は兄の遺志を継いでヤマトを操縦したいと   思って航海班を志望しました。 藤堂:うむ。 揚羽:K201誘導ラインに乗りました。セーフティ解除にして下さい。 島:了解。 火星基地の着陸ハッチが開き、入港していく第三パトロール艇K201 〜ミランコビッチ・ヤマト地下秘密ドック〜 ヤマトの第一甲板に乗組員が集結している 伊藤長官、藤堂相談役が挨拶に上がる 乗組員A:敬礼! 敬礼する乗組員 藤堂相談役:再びヤマトの諸君に集まってもらう日が来たことが喜ばしいことか       どうか複雑な思いだ。なぜなら、ヤマトが出撃する時は地球に危機が       迫っているということだからだ。       しかし諸君、君達の目の前に、再びヤマトは蘇ったのだ。       あの偉大な艦(ふね)の新型艦として、新たな装備を加え生まれ       変わったヤマトでしっかり任務を遂行してもらいたい。       今は亡き沖田君もそれを望んでいると思う。 黙祷する戦士達。古代、南武、真田、北野、島次郎、太田、相原、 坂東、雷電、坂巻、赤城、仁科、佐渡、アナライザー、京塚、揚羽など 伊藤長官:ヤマトの諸君の航海の無事を祈る! 〜ヤマト・第一艦橋〜 第一艦橋のドアが開く 古代:ヤマトだ、まちがいなくこれはヤマトだ。 次郎:これが兄の艦、ヤマト。 真田が次郎の肩に手をおいて 真田:お兄さんの分までがんばれよ! 次郎:ハイ! 次郎の目に涙があふれ〜回想〜 島大介:ヤマトはいいなあ。おふくろの腕に抱かれてるみたいだ。 古代:(島、お前も一緒だ・・・、そして・・・) 沖田のレリーフを見上げる古代。それを見て皆見上げる。 沖田十三のレリーフが掲げられた壁。皆、顔を見合わせ頷く。 古代:沖田艦長・・・。 古代:相原!総員にアナウンスしろ!出航準備にかかれ! 相原:はい、古代艦長! 真田:古代、いよいよだな。 古代:ええ。この艦(ふね)は、沖田さんが育てたふねです。    そして、僕達のふねが再び蘇ったんです。 真田:ふたたびのふね、か・・・。 N:火星地下ミランコビッチドックで発進を待つヤマト。   スサノオ帝国に捕虜となったユキとタケルの運命は・・・。   銀河系中心部から迫るサルガッソー。その脅威が地球に最接近する日まで、   あと300と15日、315日。 つづく