〜亜空間〜
亜空間に漂うポケモントレーナー。
「ふぁぁ〜〜……ん?」 ポケモントレーナーはゆっくりと目を開き辺りの様子を見る。 「……………」 未知の場所にいるのに、ポケモントレーナーは随分と冷静だった。
「……? なんだ、この殺気は」 ポケモントレーナーは後ろから殺気を感じ振り向いた。 そこにいたのは、青い半透明の体で人型の生命体。 タブーだった。 「くそっ、こんなところで!!」 ポケモントレーナーは悪態をつきながら腰のモンスターボールに手をかける。 「行け!ゼニガメ!!」 そう力強く言い放ち、モンスターボールを投げたポケモントレーナーだったが、モンスターボールが途中で闇に溶け込むかのごとく消えた。 「……!!」 そして、タブーは羽根を大きく広げ、OFF波動を放ったのであった。 「うわぁぁぁっ!!」
〜スナッチ団アジト跡〜 ポケモントレーナーはがばっと起き上がる。
「……夢か」
ポケモントレーナーは机の上のモンスターボールをとる。 「心配御無用ですわ。もし私があなたの敵ならとっくにモンスターボールを奪ってるはずでしょう?」
ポケモントレーナーの目の前にいる女性は優雅に一礼する。 「申し遅れました。私リンと申します。失礼ながら入口のドアをぶっ壊して入らせていただきました」
なんというか、こう言うのギャップっていうんですかね?
「まあ、それは良いといたしまして……」
ポケモントレーナーはため息をつく。 「私がここに来た目的をお話しましょう。端的に言えば、あなたの活動に協力するために来たのです」
ポケモントレーナーは再び身構える。
「失礼ながら、あなたが寝ている間にエスパータイプのポケモンの力であなたの記憶を拝見させていただきました」
エスパー技使って寝てる人の記憶見るとか良識のある普通の人間ならやらない。……どこかの組織の某参謀以外はな。まあ、でもあいつ限りなくポケモンに近い人間だし。
「おい、今帰ったぞ」
ドアを開けて寝室に入ってきたのはスナッチマシンを付けた青年、レオだった。
〜トキワの森〜 トキワの森をキレイハナをつれた少女が歩いていく。
「ルイナ、カントー地方で取り残したバッチって、どことどこのになるの?」
簡易ポケモン図鑑を開きながらルイナは答える。
「とりあえず、トキワシティからニビシティ通ってハナダかな?」 そう言った時だった。 「…………っ! うわああっ!?」 ルイナは何かにつまづき、倒れてしまった。 「ルイナ!大丈夫!?」
そこにいたのは耳に花の飾りをつけたピカチュウ。
「ピカチュウちゃん、大丈夫?」 それにしても、このスチュエーション、何だかデジャビュを感じるなぁとルイナは思いつつ、起き上がる。 「ピカ、ピカピカー」
グッドタイミング。
現れたのは麦藁帽子を被った女の子。 「あ、すいません、チュチュが迷惑かけちゃいましたか?」
少女はピカチュウに手をかざす。
「す、すごい……」 レイが驚きの声を上げる。 「初めまして。ボクはイエローといいます」 イエローはニコニコ笑顔でルイナの方を向く。 「初めまして。あたしはルイナです」 イエローとルイナは握手を交わす。
「………?」 「やっと見つけました、イエロー・デ・トキワグローブさん……トキワの森のイエロー」 背後からふと声がする。
「…貴方は?」
ポケモントレーナーは小さな銃……ダーク・キャノンをイエローに向ける。
「申し訳ないんですが、今は貴方に僕の目的を話すことは出来ません……黙ってついてきてください」
……沈黙。
というか、周りのみんなはリアクションに困ってるというか。
その沈黙を破るようにポケモントレーナーポケギアの着信音が鳴る。
ポケモントレーナーはそういって、リザードンの空を飛ぶでこの場を去った。 「なんだったんでしょうか? 今の人……」
その時、軽快な音楽がルイナのバックから漏れてきた。
ルイナは急いでポケギアを取り出し、電話に出る。 「はい、ルイナです」
電話口から聞こえて来たのはルイナのお母さんの声だった。 「あ、お母さん? どうかしたの?」
電話は一方的に切れた。 「ちょっと、行かなきゃいけないとこができたので……またどこかでお会いできたら良いですね!」
ルイナはにっこり頷くと、ミミにテレポートを指示して、その場を去った。 「あ、イエローじゃないか!」 背後からそんな声が響き、そちらの方向を見ると、レッドとグリーンが。 「あ、お久しぶりですレッドさん、グリーンさん!」
グリーンとレッドは顔を見合わせてうなずく。 話題についていけないイエローは首を傾げる。 そんなイエローの様子にレッドが気付き、悪い、悪いと言って状況説明を始めた。 「実は、ここ最近マサラタウンを襲撃した奴らがいてな。オーキド研究所にあったモンスターボール……勿論、中のポケモンも盗まれて、ブルーも連れ去られたんだ。で、そいつらのアジトがどうやらオーレ地方にあるらしいんだ」
イエローはうーん、と悩んだような表情を見せる。 「……じゃあ、僕で力になれるようなら、一緒に行かしてもらえませんか?」
レッドは嬉しそうにそう言った。
一方…… 「これは……酷いなんてレベルじゃないよ」 ミミがそんな感想をもらす。
その様子は以前レッドが訪れた時とほぼ変わらない。 「ねえ、ルイナ! スフィア達は大丈夫なのかな?」 そういえばそうだ。 「とりあえずオーキド研究所に行きましょう」 お母さんたちもいるかもしれないし、とルイナは言った。
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