〜亜空間〜

亜空間に漂うポケモントレーナー。
回りはあらゆる音が闇に吸収されてしまってるかのように静まりかえっている。

「ふぁぁ〜〜……ん?」

ポケモントレーナーはゆっくりと目を開き辺りの様子を見る。

「……………」

未知の場所にいるのに、ポケモントレーナーは随分と冷静だった。
というのも、ポケモントレーナーは既にこの場所に来たことがある気がしていたからだ。
こういうのをデジャヴュと言うとか言わないとか。
ともかくポケモントレーナーは変な感覚に襲われていた。

「……? なんだ、この殺気は」

ポケモントレーナーは後ろから殺気を感じ振り向いた。

そこにいたのは、青い半透明の体で人型の生命体。

タブーだった。

「くそっ、こんなところで!!」

ポケモントレーナーは悪態をつきながら腰のモンスターボールに手をかける。

「行け!ゼニガメ!!」

そう力強く言い放ち、モンスターボールを投げたポケモントレーナーだったが、モンスターボールが途中で闇に溶け込むかのごとく消えた。

「……!!」

そして、タブーは羽根を大きく広げ、OFF波動を放ったのであった。

「うわぁぁぁっ!!」

 

 

〜スナッチ団アジト跡〜

ポケモントレーナーはがばっと起き上がる。
呼吸が荒く、整えるまで数秒はかかった。

「……夢か」
「何か悪い夢でも見られたのですか? 初仕事を成功させた夜にしては随分と苦しそうでしたが」
「誰だ!?」

ポケモントレーナーは机の上のモンスターボールをとる。

「心配御無用ですわ。もし私があなたの敵ならとっくにモンスターボールを奪ってるはずでしょう?」
「……それもそうだな。で? お前は誰だ?」

ポケモントレーナーの目の前にいる女性は優雅に一礼する。

「申し遅れました。私リンと申します。失礼ながら入口のドアをぶっ壊して入らせていただきました」
「ふーん。………………って、ぶっ壊して?」
「はい、ぶっ壊してです」
「…………………………」

なんというか、こう言うのギャップっていうんですかね?
とポケモントレーナーの顔に書いてあるのは誰から見ても明白。

「まあ、それは良いといたしまして……」
「あんま良くない気がするがな」

ポケモントレーナーはため息をつく。

「私がここに来た目的をお話しましょう。端的に言えば、あなたの活動に協力するために来たのです」
「……俺たちの活動に協力? いや、そもそもなぜ俺たちの活動を知っているんだ?」

ポケモントレーナーは再び身構える。
当然だ。ポケモントレーナーの「活動」に関しては、ポケモントレーナー本人と、その協力者であるとあるトレーナーしか知らない。

「失礼ながら、あなたが寝ている間にエスパータイプのポケモンの力であなたの記憶を拝見させていただきました」
「………(頭痛)」

エスパー技使って寝てる人の記憶見るとか良識のある普通の人間ならやらない。……どこかの組織の某参謀以外はな。まあ、でもあいつ限りなくポケモンに近い人間だし。
というかそんなことする人はいないと信じたいとポケモントレーナーは思ったものの残念ながら突っ込みをいれる気力も残っていない。

「おい、今帰ったぞ」
「あ、レオ。グットタイミング!」

ドアを開けて寝室に入ってきたのはスナッチマシンを付けた青年、レオだった。

 

 

 

 

 

〜トキワの森〜

トキワの森をキレイハナをつれた少女が歩いていく。
彼女の名前はルイナ。家庭の(というよりは両親の)事情により、11年間ポケモンと隔離された生活を送ってきた少女である。11歳を期に家出をし、カントー、ジョウトその他さまざまな地方を巡り、最終的には両親と和解(というほど喧嘩していたわけではないけどbyルイナ)して、地元であるカントー地方を旅していた。

「ルイナ、カントー地方で取り残したバッチって、どことどこのになるの?」
「えーっと、ニビとハナダだったかな?」

簡易ポケモン図鑑を開きながらルイナは答える。
勿論、オーキド博士からちゃんとしたポケモン図鑑を貰ってはいるのだが、簡易ポケモン図鑑も未だに地図としては使えるため、ちゃんと持っているのだ。

「とりあえず、トキワシティからニビシティ通ってハナダかな?」

そう言った時だった。

「…………っ! うわああっ!?」

ルイナは何かにつまづき、倒れてしまった。

「ルイナ!大丈夫!?」
「大丈夫よ、レイ。…あ!?」

そこにいたのは耳に花の飾りをつけたピカチュウ。
どうやらこのピカチュウ走ってきたところにルイナがつまづいてしまったらしい。
ぶつかった時にちょっとすりむいたらしく、手に擦り傷が出来ていた。

「ピカチュウちゃん、大丈夫?」

それにしても、このスチュエーション、何だかデジャビュを感じるなぁとルイナは思いつつ、起き上がる。

「ピカ、ピカピカー」
「おーい、チュチュー!!」

グッドタイミング。
どうやらこのピカチュウの持ち主が現れたようだ。

現れたのは麦藁帽子を被った女の子。

「あ、すいません、チュチュが迷惑かけちゃいましたか?」
「私は大丈夫です。ちょっとぶつかっただけなんで。それより、ピカチュウちゃんが怪我しちゃったみたいで…ごめんなさい。えーっと、傷薬、傷薬…と」
「大丈夫ですよ」

少女はピカチュウに手をかざす。
すると、ピカチュウの傷があっという間に消えていった。

「す、すごい……」

レイが驚きの声を上げる。

「初めまして。ボクはイエローといいます」

イエローはニコニコ笑顔でルイナの方を向く。

「初めまして。あたしはルイナです」

イエローとルイナは握手を交わす。
その時だった。風も吹かないのに木々が何かを恐れるかのようにザワザワとざわめきはじめた。

「………?」

「やっと見つけました、イエロー・デ・トキワグローブさん……トキワの森のイエロー」

背後からふと声がする。
そこにたっていたのは、赤い帽子を被った少年…ポケモントレーナーである。

「…貴方は?」
「ボクの名前はポケモントレーナー。貴方を迎えに上がりました」

ポケモントレーナーは小さな銃……ダーク・キャノンをイエローに向ける。
ポケモントレーナーは静かに続けた。

「申し訳ないんですが、今は貴方に僕の目的を話すことは出来ません……黙ってついてきてください」
「名前を名乗らない上に、目的も話さないで人についてきてと言うなんて悪人以前だとおもいますけど?」

……沈黙。
何か前にも似たようなスチュエーションがあった気がするが、この際気にしない。

というか、周りのみんなはリアクションに困ってるというか。
……訂正、ルイナ並の天然のイエローはうんうんとルイナの言っていることに頷いていた。

その沈黙を破るようにポケモントレーナーポケギアの着信音が鳴る。
「……ああ、分かった。すぐ行く。さてと……今回は妙な邪魔が入ったようですし、これぐらいにしておきます。あ、そうそう、今この世界は大きな危機を迎えています。もし止めたくば、オーレ地方に行くといいでしょう」

ポケモントレーナーはそういって、リザードンの空を飛ぶでこの場を去った。

「なんだったんでしょうか? 今の人……」
「さあ……?」

その時、軽快な音楽がルイナのバックから漏れてきた。
ポケギアの着信音だ。

ルイナは急いでポケギアを取り出し、電話に出る。

「はい、ルイナです」
『ルイナ? 私よ』

電話口から聞こえて来たのはルイナのお母さんの声だった。

「あ、お母さん? どうかしたの?」
『ちょっと急ぎで伝えたいことがあるの。マサラタウンまで来てくれないかしら』
「良いけど……なんでマサラタウン?」
『来ればわかるわよ。じゃ、待ってるからね』

電話は一方的に切れた。

「ちょっと、行かなきゃいけないとこができたので……またどこかでお会いできたら良いですね!」
「え? あ、はい!」

ルイナはにっこり頷くと、ミミにテレポートを指示して、その場を去った。

「あ、イエローじゃないか!」

背後からそんな声が響き、そちらの方向を見ると、レッドとグリーンが。

「あ、お久しぶりですレッドさん、グリーンさん!」
「ああ。ところでイエロー、お前何してるんだ? こんなところで」
「チュチュと遊んでたんですけど、途中で変な人達が襲って来て……」
「変な人?」
「はい、何か今この世界は大きな危機を迎えているから、止めたければオーレ地方に行きなさいって……」
「レッド……」
「ああ、間違いなく奴らだな」

グリーンとレッドは顔を見合わせてうなずく。

話題についていけないイエローは首を傾げる。

そんなイエローの様子にレッドが気付き、悪い、悪いと言って状況説明を始めた。

「実は、ここ最近マサラタウンを襲撃した奴らがいてな。オーキド研究所にあったモンスターボール……勿論、中のポケモンも盗まれて、ブルーも連れ去られたんだ。で、そいつらのアジトがどうやらオーレ地方にあるらしいんだ」
「で、レッドさんたちはその人たちを追いかけてるんですか?」
「ああ、そうだ。さっきグリーンと合流したんだけど、グリーンが空から行くのは罠があるかもしれないから、ディグダの穴を通ってクチバにいくところなんだ」

イエローはうーん、と悩んだような表情を見せる。

「……じゃあ、僕で力になれるようなら、一緒に行かしてもらえませんか?」
「ああ、頼む!!」

レッドは嬉しそうにそう言った。

 

一方……

「これは……酷いなんてレベルじゃないよ」

ミミがそんな感想をもらす。
マサラタウンにテレポートしたルイナ。その前に広がったのは、以前と似ても似つかぬマサラタウンだった。

その様子は以前レッドが訪れた時とほぼ変わらない。

「ねえ、ルイナ! スフィア達は大丈夫なのかな?」

そういえばそうだ。

「とりあえずオーキド研究所に行きましょう」

お母さんたちもいるかもしれないし、とルイナは言った。
この提案に特に異論もなく、とりあえずオーキド研究所に向かうことにしたのであった。

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