〜シンオウ地方スカイタワー〜

おかしい。今までバトルフィールドでバトルをしていたのに……
煙が晴れたと思ったら、どこか薄暗いところにいた。

『サトシ選手、ハレタ選手、ようこそスカイタワーへ』

そんな声が後ろから響く。
二人ははっとして振り向く。

「誰だ! お前は?」
『フン、フフフ……私はロケット団三獣士のサキ。いきなりで悪いが君達には消えてもらう』

すると、部屋内に設置されていたエネルギー砲門にエネルギーが集中し始める。

「そうはさせないです!!」

横からいきなり「エナジーボール」が砲門に炸裂。
砲門は脆くも崩れ去る。

「サトシ、大丈夫ですか?」
「お前は……シェイミ! どうしてここに?」
「話は後です! 早くここから脱出するです!」
「よし! 脱出ならオイラに任せろ! 行くで、レジギガス!!」

モンスターボールの中から出て来たのはレジギガス。

「お前……レジギガスなんて持ってたのか!?」

サトシも驚きの様子。
そりゃそうだ。伝説を手持ちにいれてるトレーナーはそうはいない。

「レジギガス、メガトンパンチ!」

レジギガスのメガトンパンチで壁に穴をこじ開ける。(というよりは壁をぶっ壊すのほうが正しいか)

「よし、早く外に出ようぜ!」

このタワーには誰もいないらしく、追っ手が来る気配もない。

「う〜 雪が降ってるでしゅ〜 寒いのは苦手でしゅ〜」

いつの間にかランドフォルムになっているシェイミは、ちゃっかりサトシの腕に収まっていた。

「で、シェイミ。なんでお前がここにいるんだ?」
「それよりも前に、ミーに感謝するでしゅ! ミーがいなかったら二人ともペラペラなカードになってたでしゅ」
「おう! ありがとな、シェイミ」
「……あいかわらず偉そうな奴」

サトシは不満げな顔でぼそっと言う。

「なにか言ったでしゅか?」
「いや、何も。……それで、何でここにいるんだ?」

そうそう、と言ってサトシのポケットに入っている空のモンスターボールを持ち出して来て、

ミーはサトシのポケモンになるでしゅ!!

と言った。

「………………」

場が凍り付いたのはきっと寒さのせいじゃない。

「えーっと(汗」

場の流れについていけないハレタはおろおろし始める始末。

「とりあえずでしゅ……」

モンスターボールを地面に置くと、スイッチにタッチして自らモンスターボールの中に吸い込まれた。

「シェイミ、ゲットだぜ! ……でいいのかな? この場合」
「まあいいんじゃねえか? ゲットはゲットだし」
「ピ……ピッピカチュウ!」

サトシはシェイミの入ったモンスターボールを見つめる。

「まあそれはいいとして、ここはどこなんだ?」
「雪が降ってるってことはキッサキシティの近くじゃないか?」

とにかく、その場所にとどまっていられないのも確かだ。

「空から様子を見てみようぜ。ムクバード、頼む!」
「んじゃあオイラも、出てこい、ムウマ!!」

二人のモンスターボールからムクバードとムウマが現れる。

「空から周りの様子を見て来てくれ!」

ムウマとムクバードは頷くと、雪の降る寒空へと姿を消していった。

 

 

 

 

〜アラモスタウン〜

久しぶりにここへ戻ってきた……
ツバサは大きく深呼吸をする。

アラモスタウンの空気は澄んでいて心地よい程度に冷たかった。

ツバサはもともとは別の世界にいた人間だが、ある日目覚めるとこの世界のアラモスタウンに来ていたのである。

「師匠……ノゾミもアラモスに来てるらしいからな、とりあえず、ポケモンセンターに……」

とポケモンセンターへと向かうツバサの足が止まった。

「……誰?」

ツバサは後ろに気配を感じた。
今までにない冷たい感覚。
ツバサの後ろの影が揺れていた。

「……ココニクルナ」

ゆっくり影の中から現れたのは、暗黒ポケモン、ダークライだった。

「ダークライ……どうしてここに? サーシャ、通訳を頼む!!」
(オッケー!)

ダークライの声が完全通訳状態で聞こえてくる。
普段のダークライは片言でしかしゃべらないので、完全に理解するには他のポケモンと同様、通訳をする必要があるのだ。

「……大きな力が再びアラモスに近づいて来ている」
「大きな力? ディアルガかパルキアのこと?」

ダークライは頷いた。

「この町だけではない、大きな災いがこの世界を包みこもうとしている。別の世界から来ている大きな災いが……」
「……君が言うんだから、この世界に災いが来ているのは事実なんだろうけど、……僕にどうしろと?」
「私と共に戦ってほしい。共に戦うニンゲンが必要だ」

ツバサは黙り込む。
というよりも、リアクションに困っていると言ったほうが正しいか。

「いや、何も僕じゃなくとも……僕より優秀な人間はいくらでも……」
「お前が『選ばれし人間』であるから私はお前をパートナーにえらんだのだ。不合理ではない」

選ばれし人間? 僕がこの世界に来たことと何か関係あるのかな? とツバサは思ったがそれで肯定されるとますますこのダークライの思惑通りに進むだろうと思ったのでやめた。

「ともかく私は……」

ダークライが何か言いかけたその時だった。
辺りの物を震わせるほどの爆音が響き、赤いモノが「時空の塔」の広場の前に落ちた。

「……! 行くぞ、ニンゲン!」
「っておい、ちょっと待てぇぇぇ!!」

ダークライはツバサの腕を引っ張り、広場前へと飛ぶ。

「……危うく腕がちぎれるとこだった……ってあれは?」

広場に降り立ったダークライとツバサが見たのは、体勢を立て直している神と呼ばれしポケモン、パルキアと、それを狙うポケモンハンターJだった。

「ポケモンハンターJ! パルキアが危ない! サーシャ、アナベル、サイコキネシス!!」

モンスターボールから出たサーシャことジラーチと、アナベルことエーフィのサイコキネシスがJが放った衝撃波を吹き飛ばす。

「貴様、何ものだ!」

Jの部下が叫ぶのをツバサが遮る。

「お前らがパルキアをどうするつもりかは知らないけど、好きにはさせないぞ!」
「何を! ガキが生意気な!!」
「いや、確かにガキですけどね? あんたら、僕みたいなガキに邪魔されて作戦ミスってるときもあるでしょ?」

サトシとか、サトシとか、サトシとかね〜、と笑顔で付け加える。

「それに、こっちには協力をしてくれるポケモンもいるし! ダークライ、ダークホール!!」

ダークホールがポケモンハンター達のポケモンを襲う。

「貴様……!」
「放っておけ、いまはターゲットが優先だ」

Jは再びパルキアに銃口を向ける。

「させない! ダークライ、ダークホール! サーシャとアナベルはサイコキネシスでダークライをサポートして!」
「ドラピオン、クロスポイズン!」
「……っ! しまっ……」

ツバサが背後に気配を感じた時は遅かったらしい。
クロスポイズンを背中に喰らい、ツバサはカードになってしまった。

 

 

 

 

 

〜アラモスタウンポケモンセンター〜

「……ん……ここは?」

起き上がろうとしたツバサは誰かに制止される。

「お、気がついた。安心しな、ここはアラモスタウンのポケモンセンターだ」
「……ノゾミ」

ツバサは、ホッと肩を撫で下ろすというか、肩の力が抜けた。
ノゾミが助けてくれたとわかったからというか。

「びっくりしたよ。広場の方で爆音がしたかと思ったらあんたの『カード』が落ちてたからね」
「メンボクない……あれ、ダークライとパルキアは?」
「パルキアって、空間を司るって言われてる?」

ツバサはこの答えを聞いて大体把握した。おそらくノゾミはパルキアの姿を見てないんだろう。ということは、やはりパルキアはJに捕獲されてしまったんだ。

「ダークライなら、ここにいるよ」

そうニコニコ笑顔でサーシャはモンスターボールを持ってくる。

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30秒たっぷり沈黙。

そしてツバサはモンスターボールを黙って投げる。

中から出てきたのは紛れも無く、ダークライだった。

「誰か30字以上20字以内で現在の状況を説明してくれ!!(←混乱中)」
「駄目だなこりゃ、ラムの実かキーの実を食べさせなきゃ」

生産され続けるボケに対してノゾミがとれた行動は呆れることぐらいだった。

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