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第十話 「姿を見せた悪魔」

N:西暦2210年、火星地下ドッグで蘇った宇宙戦艦ヤマトは、太陽系にせまりつつある   サルガッソーの調査と謎の敵の正体を解明するため、銀河系中心部へ向けて発進した。   スサノオ帝国の人質となってしまった古代の妻ユキと息子猛はひたすら救助が来るのを   待つしかなかった。   一方、サルガッソー調査船団はスサノオ帝国ダーデル艦隊の反粒子砲によって全滅。   助けに向かおうとしたヤマトもアスカ艦隊の次元転移ミサイルの攻撃に   苦戦していた。 〜ヤマト・第一艦橋〜 太田:これで時間が稼げれば。 古代:船を止めたのは所詮目眩ましだ、そう長くはもたないだろう。 真田:(工作室からモニターで)こちら真田。次元転移シールド完成間近だ! 古代:急いでください、真田さん。時間稼ぎには限界があります。 真田:わかっているよ。このシールドが完成すれば、とりあえず防御は可能だ。    シールドを張り巡らせ、ミサイル攻撃は防げるだろう。但し、守るだけだ。 南武:くっそ〜。やられっぱなしか〜。 N:その頃、スサノオ帝国に人質となった雪と猛は、銀河系前線基地より   スサノオ帝国本星に送られていた。 〜スサノオ本星〜 警備兵に銃を突きつけられ長い廊下を連れて行かれる雪と猛。 スサノオ警備兵:さあ、早く歩け。 猛:ママ、パパはいつ助けに来てくれるの? ユキ:もうすぐよ。きっと助けに来てくれるわ。きっと…。   (あなた…。) 猛:パパはヤマトで来るよね。 ユキ:そうね。 警備兵とエレベーターに乗る雪と猛。 テレパシーのように猛の頭の中に聞こえてくる女の子の声。 キミハドコカラキタノ?キミハドコカラキタノ? 猛:だれ? ユキ:?…猛、どうしたの? 猛:誰なの? キミハスサノオ人?キミハスサノオ人? 猛:だれ?誰なの? ユキ:どうしたの?猛? 猛:だれかが僕に話しかけるんだ。 ユキ:誰かって?誰もいないじゃない。 猛:君はだれ?って…。 ユキ:誰なの? 猛:わかんない。スサノオって。 ユキ:スサノオ?名前かしら…。 スサノオ警備兵:何をゴチャゴチャ言ってる、黙っていろ! 〜アスカ艦隊・旗艦〜 スサノオ兵A:提督!ヤマトの動きが予測不能になりました。 アスカ提督:どうしたというのだ!もう一度正確な位置を割り出すのだ。 スサノオ兵B:はい、再度ヤマトの位置予測開始します! 次元転移ミサイルがヤマトの前方を通り過ぎて行く 〜ヤマト・第一艦橋〜 揚羽:ミサイル回避! 太田:成功です艦長!敵はこちらの動きを捉えきれないようです。 古代:油断は禁物だぞ!    この時間を利用して、コスモタイガーに周囲の偵察をさせよう。    敵は必ず近くにいるはずだ。 古代(艦内アナウンス):コスモタイガー隊、発進せよ! 〜ヤマト・艦載機発艦口〜 加藤:やっと俺達の出番だぜ!坂本隊、椎名隊続け! 坂本・椎名:了解! ヤマト発艦口より飛び出していくコスモタイガー隊 加藤:ヤマトの周囲100宇宙キロまでを徹底的に捜索するんだ!    次元転移ミサイルは30分とか1時間前に発射いているから、敵は既に発射地点からは    移動しているだろう。だが射程距離は短いミサイルだ。そう遠くまでは行っていないはずだ! 坂本:任せてください。 加藤:敵を見つけても攻撃はするな!すぐに艦長に報告だ。 椎名:りょーかい。(敵を見つけたら即攻撃でしょ!) 加藤:何か言ったか? 椎名:な、なんでもありませーん。 〜スサノオ本星〜 牢屋に連れ込まれる雪と猛。 スサノオ警備兵:さあ、ここが貴様らの新しいお家だ。 猛:僕の家は火星だよ!こんな所、お家じゃないぞ! ユキ:タケル、やめなさい! スサノオ警備兵:けっ、威勢のいいガキだ!その元気もいつまで続くことやらなぁ。 扉の鍵をかけ立ち去る警備兵 猛:お前らなんかパパがやっつけてくれるぞ! ユキ:(タケル・・・) キミハドコカラキタノ?キミハドコカラキタノ? 猛:どこにいるの?君は誰? ユキ:・・・。 扉の小さな窓から廊下を覗く猛。 白い影が廊下を横切る。 猛:ママ!誰かいるよ、ママ! 雪も扉の窓から廊下を覗く。 ユキ:何も見えないわ。 ドウシテソンナトコニイルノ?ドウシテソンナトコニイルノ? 猛:悪い奴らに捕まっちゃったんだ! 牢屋のあちこちを見回しながら叫ぶ猛 ユキ:ママには何も聞こえないし、何も見えないわ! 猛:あの子はいい子だよ、ママ。僕らを助けてくれるかもしれない。 ユキ:タケル、あなた誰と話をしているの? 猛:わかんない。でも、女の子、いい子だよ、きっと! あどけない笑顔で答える猛。 愛しい我が子を抱きしめるユキ。 〜ヤマトより100宇宙キロ付近の宇宙空間〜 加藤:そろそろ100宇宙キロだ!坂本、そっちは何か見つかったか? 坂本:いえ、こちらは何も。 椎名:隊長!加藤隊長! 加藤:椎名、どうした? 椎名:こちら椎名。現在位置F座標Jブロックの18。戦艦発見!アンドロメダです! 加藤:アンドロメダ?おい、今、アンドロメダって言ったのか? 椎名:はい、新型のアンドロメダです。 加藤:いったいどこの艦隊だ?俺たちを応援しに来てくれたのか? 椎名:わかりません。もう少し近づいてみます。 加藤:椎名!やめろ!個別行動は危険だ! 椎名:平気、平気!隊長は心配性ですね。 一人でアンドロメダに接近していく椎名機 加藤:椎名!やめろ! 坂本:万一、敵だったら気付かれたらお終いだ! 加藤:坂本!俺が援護するから、お前はヤマトに戻って正確な位置を知らせるんだ! 坂本:了解! 更にアンドロメダに接近していく椎名機。 BAOWAANNN!!! 加藤:椎名!危ない! 椎名:ああああ! アンドロメダから発射されたレーザー砲が命中し、 炎上する椎名機。 加藤:シイナ〜!! 落ちていく椎名機を追いかける加藤機。 〜ヤマト・第一艦橋〜 坂本(通信音声):こちらコスモタイガー坂本。 相原:こちらヤマト、どうぞ。 坂本(通信音声):椎名機が敵とみられる戦艦の攻撃によりやられました! 古代:なに?交戦状態か? 坂本(通信音声):いえ、偵察の途中でした。隊長の命令を聞かずに敵艦に接近して…。 古代:それで椎名は? 坂本(通信音声):何とか爆発前に隊長が救出されましたが…。 古代:わかった。坂本、とにかく帰還しろ! 坂本:了解! 〜コスモタイガー加藤機・コクピット〜 加藤:こちら加藤、こちら加藤。 後部座席に血だらけの椎名が横たわっている。 〜ヤマト・第一艦橋〜 相原:こちらヤマト。艦長!加藤から入電です。 古代:俺が出よう。加藤、現在位置は? 加藤(通信音声):現在位置F座標Jブロックの21。敵戦艦確認!アンドロメダ です! 古代:なに!? 加藤(通信音声):正確には、アンドロメダによく似た戦艦といった方がいいかもしれません。 古代:加藤、それはどういうことだ。 加藤:映像を送ります。 相原:ビデオパネルに切り替えます。 全員:お〜っ。 古代:こ、これは、新型アンドロメダそっくりじゃないか! 次郎:艦長!良く見て下さい。艦尾のマークを! 古代:地球の船じゃないな。 南武:どこの星の船なんだ…。 相原:しかし、こんなにそっくりに作れるものか?偶然とは思えないな。 加藤:次元転移ミサイルを発射しているところも見ました。    ヤマトを襲った敵は奴らに間違いありません。 古代:いよいよ姿を現したな! 太田:最初に調査船団が狙われた時もアンドロメダから攻撃を受けたと言ってたな。 古代:何かありそうだな。 N:次元転移ミサイルに苦しみながらも、ついにアスカ艦隊を確認したヤマト。アンドロメダに似た戦艦とは。   傷付いた椎名の運命は…。謎の女の子とテレパシーで会話するタケル、雪の運命は…。   太陽系に迫るサルガッソー。その脅威が地球に最接近し人類滅亡まで、あと100と39日、   あと139日しかない。 つづく