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第16話 「地球艦隊、壊滅!」
N:西暦2210年、ヤマトはサルガッソーの太陽系接近を阻止し、
謎の敵の正体を解明するため、銀河系中心部へ向けて発進した。
敵の様々な妨害をくぐり抜け、連続ワープで太陽系を
後にしたヤマトだったが、2回目のワープ明けで目にしたのは
凄まじい攻撃を受ける地球艦隊の姿であった。
艦長の古代は、敵の正体を探るべく自ら偵察に飛び立ったのだった。
敵の攻撃を受け、遊爆の続く冥王星艦隊、旗艦クライド。
古代のコスモゼロがクライドに着艦する。
古代:これよりクライド船内の生存者確認に向かう。
坂本!援護してくれ。
坂本:わかりました。お一人で大丈夫ですか?
古代:相手の攻撃が弱まっている今しかない。
坂本:艦長、お気をつけて!
〜旗艦クライド・艦橋〜
乗組員A:ヤマトの古代艦長です。
クライド・原田艦長:古代艦長。
古代:原田艦長!怪我をされているではありませんか。
原田:古代さん、我々の艦はもうダメです。早く逃げて下さい。
古代:何をおっしゃるんですか。私と一緒にヤマトへ。
原田:うっ。
乗組員B:艦長!大丈夫ですか!
古代:原田艦長!
原田:こ…だ…い…艦長、奴らの…反粒子砲は…恐ろしい武器です…。
侮っては…いけない。
古代:わかりました。
原田:一発で終りじゃない…、もう一発来るので…うっ!
古代:かんちょう!原田艦長!
息を引き取る原田。
泣き崩れる乗組員達。
古代:すぐに生存者をブリッジに集めるんだ。このままではみんなやられるぞ!
乗組員B:我々も原田艦長と、このクライドと共に。
古代:バカを言うんじゃない!君達には敵の正体を探るために、もうひと肌脱いで
もらう。いいな!だから生き延びるんだ!
坂本:古代艦長!
古代:坂本か、ヤマトに連絡して救命艇を呼んでくれ!
海王星艦隊も救助に向かう!
坂本:了解!こちら坂本、こちら坂本!ヤマト応答されたし。
旗艦クライドから離れる救命艇。
コスモハウンドも旗艦ガリレオに近づき救助活動を行なう。
〜ヤマト・第一艦橋〜
ガリレオ・谷艦長:こちら海王星艦隊旗艦ガリレオ。
相原:こちらヤマト。
谷:我々の乗組員を助けていただき誠に感謝したい。
相原:生存者は皆さん救命艇に?
谷:ええ、今、古代艦長が救助に来て下さった。
真田:谷艦長、あなたも早く!その状態ではいつ爆発してもおかしくない。
そのままそこにいては危険です。
谷:ヤマトの皆さん、どうかわかって下さい。私はこの艦と
最後まで運命を共にしたい。
真田:艦長!あなたは…。
〜ガリレオ・艦橋〜
古代:谷艦長!まだ、残っておられたんですか?
早く救命艇へ!
谷:古代さん、ありがとう。今、ヤマトの皆さんにお礼を申し上げた所です。
古代:そんなことを言っている場合じゃない、一刻も早く脱出を!
谷:(首を横に振る)
古代:!!
谷:(黙って頷く)
古代:(谷艦長)
BOWAANNN!!!
ガリレオ艦橋に爆発が起こる。
坂本:古代艦長!危険です!艦長!
古代:(坂本の制止を振り切って艦橋に飛び込もうとする)
坂本:いけません、艦長!(古代を後ろから羽交い絞めにする)
古代:離せ、坂本!このままでは谷艦長が!
坂本:艦長!あなたにもしものことがあったら、ヤマトはどうなるんですか!
古代:(振り返り…)さかもと…。
坂本:(目に涙をためている)
古代:(涙を拭きながら走り出す)
古代:(くっそー、どんな敵かわからんが、必ず仇はとってみせる!)
ガリレオから離脱するコスモゼロとコスモタイガー。
ヤマトへ帰還する。
〜ヤマト・作戦指令室〜
真田:依然として敵のはっきりとした正体はわからんが、限りなく我々地球の
条件に酷似した敵だということは間違いない。
古代:クライドの原田艦長が最後に言った一言が気になるんです。
真田:最後の一言?
古代:反粒子砲と、、、。
北野:は、はんりゅうしほう?
クライド乗組員:そうです、反粒子砲です!
古代:どんな武器だ?
クライド乗組員:とにかくものすごいエネルギーの束が。
それも二度…。
北野:二度?
古代:真田さん。
真田:うん。反粒子とは、質量とスピンが等しく、電荷など正負の属性が逆の粒子を言うんだ。
つまり、反粒子が通常の粒子と衝突すると対消滅を起こし、すべての質量が
エネルギーに変換される。ようするに大爆発を起こすんだよ。
古代:反粒子…。11番惑星で戦った敵の大将が言っていた「反世界」と何か
関係があるんでしょうか。
真田:ありえるな。反世界のエネルギーは、こちらの世界では反物質エネルギーになるからな。
古代:どうやって立ち向かえば・・・。
北野:二度か…、二度、二度。
真田:どうかしたか?北野。
北野:いえ、ちょっと。
古代:とにかく、敵はまだこの近くにいるはずだ。
もう一度我々を襲ってくるに違いない。
真田:もう少し地球艦隊の生存者に話を聞いて、対策を練ることにしよう。
古代:よろしくお願いします。
〜スサノオ本星・ユキと猛の牢獄〜
テレパシーで会話する猛と巫女。
猛:ミコちゃん!
巫女:タケル、カギモッテキタ。
猛:ミコちゃん、すごいぞ。
巫女:タケル、ワタシ、コワイ。
猛:大丈夫!ミコ!早く開けて!
巫女:デキナイ。コワイ。
猛:ミコ、じゃあ、僕にカギをかして。
(牢獄の扉の下にある窓越しにカギヲ受け取るタケル)
巫女:オッキナ、オフネ、ミニイク?
猛:ああ。案内してくれる?
巫女:ウン。
タケルはカギをユキに渡し、ユキが長い手でカギを
穴に突っ込んで回している。
猛:ママ、がんばって!
巫女:・・・。
カチャ!カギが開き扉が開く。廊下から走り出す三人。
ユキがタケルと巫女の手を引いて走る。
ユキ:(古代君、早く来て!)
脱走に気付く警備兵。
〜ヤマト・第一艦橋〜
揚羽:エネルギー波、接近!
BOWAANNN!!!
乗組員:うわぁぁぁぁ!
爆発の勢いで乗組員が倒れる。
艦内アナウンス:第2砲塔被弾!!
BOWAANNN!!!
艦内アナウンス:艦首魚雷発射口、損傷!!
揚羽:エネルギー第二波、接近!
次郎:ちくしょう!
揚羽:右45度の方向に小惑星帯。
古代:次郎!その小惑星帯の中に入り込めるか?
次郎:了解。両舷全速、面舵いっぱーい!
真田:もう少しだ!古代!もう少し時間を稼いでくれ!
次郎:大丈夫!この中に居れば敵も撃って来れないでしょう。
太田:次郎!気流が激しいから大きな岩塊に気をつけろ!
真田:ぶつかったらヤマトはひとたまりもないからな!
次郎:アッコ!パネルチェック、頼むぜー!
揚羽:アッコって言わないでよ!
次郎:わかったのかよ?アッコ!
揚羽:うん、もう!
あっ!前方に岩塊!ヘビー級です!
古代:次郎!
次郎:やばい!これは無理だ!
大きく傾くヤマト。迫る岩塊!
島大介の声:次郎!落ち着け、落ち着くんだ、次郎!
次郎:に、兄さん!
大介:艦は舵だけで動かすんじゃないぞ。
次郎:え?
大介:エンジン出力や制動だってある。
次郎:制動?エンジン出力?
大介:気流の流れを読むんだよ!
次郎:気流の流れ?そ、そうか、兄さん。
アッコ!現在の気流の流れは?
揚羽:4時の方向から2時の方向へ毎秒80宇宙ノットよ。byアッコ。
次郎:サンキュー!機関長!波動エンジン停止!
山崎:なに?
次郎:はやく!!
山崎:太助!エンジン停止!
太助:エンジン停止!
エンジンが停止し、気流に流されるヤマト。
岩塊、ヤマトのすぐ脇をすり抜ける。
太田:ふ〜っ、間一髪だ!
古代:次郎、ナイス判断だ!
次郎:いえ、僕じゃありません!
真田:うん?
揚羽:お兄さん?
次郎:ああ。
揚羽:優しいね、お兄さん。byアッコ。
次郎:悪かったよ、アッコって言って。
揚羽:あん、また言った!
一同:わははははっ。
北野:(モニター越しに)技師長!反粒子砲の発射パターンの解析終わりました!
真田:よくやった!北野!
真田:艦長!これで敵から攻撃を受けても対策が可能だ!
古代:よーし!次郎!小惑星帯から全速離脱。
敵艦隊の背後に回れ。
南武!波動カートリッジ弾準備だ!
南武:了解!
N:敵に攻撃された地球艦隊から生存者を救出したヤマト。
その生存者から聞いた反粒子砲は恐るべき武器であった。
対策を急ぐヤマトに襲い掛かる敵の攻撃。反粒子砲を打ち破る術はあるのか。
牢獄から逃げ出したユキとタケルの運命は。
太陽系に迫るサルガッソー。急げヤマトよ!その脅威が地球に最接近し人類滅亡まで、
あと100と18日、あと118日しかない。
つづく