メインindex>第二話「Yプロジェクト」

N:時に西暦2210年。   21世紀から徐々に進行していた環境汚染を食い止めるため、人類は様々な   努力をしていた。その成果は23世紀に入り、実を結ぼうとしていた。   しかし、移動性サルガッソーという新たな異変が地球を、太陽系を襲おうとしていた。   地球はまだその事実を知らなかった。 〜銀河系宇宙技術研究センター〜 真田:これが移動性サルガッソーだ。入り口の直径は10万宇宙キロ、    中は無限の平行宇宙が広がっていると考えられている。    北野、拡大投影してくれ。 北野:はい。 古代:こいつが銀河系オリオン腕に近づいてきていると…。 真田:そうだ。まだ公式発表はしていないが、地球規模、いや、太陽系全体の    危機と言って間違いない。 古代:接近した場合、どんな事態に? 真田:詳しいことは言えんが、太陽系ごと飲み込まれてしまう可能性大だ。    平行宇宙に引きずり込まれたら、どんな状態になるかはわからん。 古代:防衛軍司令部への報告は? 真田:まだだ。相談役からの極秘調査依頼で動いている。ただ、相談役に    報告する前にお前に話しておきたかったんだ。    防衛軍司令部に報告すれば、おそらく近づいてくるサルガッソーの実体を    調査しに行ってくれと言われるだろうからな。 古代:そうなったら、今の護衛艦じゃ話しにならない。もっと、優れた装備の    船が…。 真田:その通りだ。 相原:新鋭鑑のイスカンダルはダメなんですか? 南武:あれなら地球だけでも20隻以上あるし、太陽系全基地に配備されている    のを合わせれば100隻を超えるでしょう。 真田:あれではダメだ。 古代:何故です?白色彗星との戦いで無人化戦闘マシンのアンドロメダがダメだってことを    思い知らされて、人の心が通う戦艦をという開発方針になったんでしょう? 真田:船の魂は人だ。操るのはあくまでも人間なんだ。 南武:防衛軍には戦闘訓練を受けた人間はいくらでもいるでしょう。 真田:本当に戦いを知っている奴はいないんだよ。俺達が地球を守る為に命がけで戦った、    あの魂を理解できないんだ。 相原:平和ボケか…。 真田:そうだ。 古代:確かに訓練学校でも、目の前の標的を倒すことやテクニックだけが優先された教育になっていると    感じさせられました。 真田:戦いは単なる殺し合いじゃない。理解しあう為に仕方なく通ることもある過程なんだ。 古代:もし、我々の太陽系に危機が迫っているなら、俺達は行くべきじゃないのか。    ヤマトの意志を継ぐ者として。 相原:でも、肝心のヤマトが…。 古代:もうヤマトの話はよそう。なくなってしまったヤマトのことをいつまでも考えていても仕方ないじゃないか。    あの時、沖田艦長がおっしゃったことを忘れてはならない。 〜回想〜 沖田艦長「ヤマトはそこで自沈する!諸君は地球に戻り、明日の地球の為にそれぞれ新しい人生を      歩んで行ってもらいたい。」 真田:あるんだよ…ヤマトが。 古代:えっ? 真田:みんなに来てもらったのはそれを伝える為だ。 古代:あるって、まさか。 頷く真田。 南武:しかし、ヤマトはあの時沈没したんだ。この目ではっきり見た。なあ、相原、お前も見ただろう? 相原:当たり前じゃないですか。あの日のことは忘れろと言われても忘れられませんよ。 〜回想〜 〜宇宙にできた海原に轟音を立てて沈んでゆくヤマト。 真田:藤堂さんから依頼されたもうひとつの極秘任務があってな。 北野にパネルを切り替えさせる真田。 「Yプロジェクト」と書かれた設計図。 真田:ヤマトを再生させるプロジェクトだよ!今、80%まで完成している。 古代:どこにあるんです? 真田:火星基地の地下に秘密ドッグがある。そこで秘密裏に建造中だ。 N:この緊急事態は司令部に報告され、調査船団が銀河系中心部に派遣された。   新型戦艦イスカンダル3隻を中心に巡洋艦テレザート15隻、空母シャルバート2隻の   合計20隻の船団となった。 〜火星地下秘密ドッグで静かに建造されるヤマト〜 N:火星の地下秘密ドッグで生まれ変わろうとするヤマト。   ヤマトよ、地球の危機に再び立ち上がれ。   銀河系中心部から迫るサルガッソー。地球最接近まで、あと348日。 つづく