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第21話 「新たなる決意」
N:西暦2210年、新宇宙戦艦ヤマトは、太陽系にせまるサルガッソーを破壊するため、
銀河系中心部へ発進準備に入った。
ヤマトはガルマンガミラスの総統デスラーの支援を受け、未知の敵スサノオ帝国との
決戦の場である反宇宙の入り口“バウンダリー”を目指す。
〜デスラーズパレス・作戦司令室〜
ヴィダ参謀:タラン副総統、出撃準備が整いました。
総統のご命令通り、デスラー砲を装備した戦艦を3隻増やし
合計6隻に致しました。
タラン:なに?
ヴィダ:副総統はご存じなかったのですか?
タラン:ううむ、とにかく総統にご報告する。
〜デスラーズパレス・浴室〜
デスラー:タラン、どうした?
タラン:はっ。おくつろぎのところを申し訳ございません。
デスラー:風呂まで何の用だ?
タラン:ヴィダからの報告でデスラー砲を装備した戦艦を3隻増やしたとのことです。
デスラー:ご苦労。
タラン:・・・総統・・・。
デスラー:通常3隻で戦うところを何故6隻にするのか・・・かな?
タラン:は、はい。
デスラー:わからんよ。
タラン:は?
デスラー:勘?とでも言っておこうか。
タラン:勘・・・ですか。
デスラー:タラン、これが私の最後の闘いになるやもしれん。
自分の勘を、戦う本能を信じてみたくなったのだ。
タラン:最後などと縁起でもない。
デスラー:タラン、頼んだぞ!
タラン:総統・・・。
〜ヤマト・手術室〜
京塚:先生!徳川さんが・・・。
アナライザー:先生!太助ガ・・・
佐渡:うむ。艦長に連絡を!
太助:父さん・・・、俺・・・、がんばっただろう?
佐渡:(太助の手を握りながら)がんばったぞ、立派だったぞ!
太助:うん。(微笑みながら)俺、父さんの動かすヤマトが大好きだった。
佐渡:(太助の手を握りながら)うむ、うむ。
太助:機関長にはなれなかったけど、今じゃヤマトのエンジンのことなら山崎さんより
俺の方が詳しいんだぜ。
古代、山崎、真田、古野間が手術室に入ってくる。
古代:徳川!
山崎:太助!太助!
太助:あれ?機関長。なんでこんな所にいるんですか?
山崎:えっ?
太助:僕のことなんかいいですから、ヤマトを・・・、ヤマトを発進させて下さい!
山崎:太助・・・。お前ってやつは・・・。
真田:死ぬんじゃない、太助!
古代:おやじさんの後を継いで、ヤマトの機関長になるんじゃなかったのか!
山崎:たすけ〜!
太助:俺、もう一度ヤマトに乗れて・・・幸せでした。
地球の、いえ、宇宙の平和の為に、ヤマトと一緒に戦えたんですからね。
古野間:徳川!
太助:古代艦長、俺も、やっとみんなの所に行けます。
おやじや、死んでいったみんなの所に・・・。
古代:太助!
太助:艦長・・・勝って下さいね・・・。
古代:わかった。
太助:大丈夫・・・ヤマトは不死身の艦です。でも最後まで気をつけて下さい。
地球に帰るまで・・・油断しないで・・・。
真田:わかったよ、肝に銘じよう。
太助:みなさん、ありが・・・と・・・
山崎:た、たすけ〜!
佐渡が首をふる。
山崎:太助!たすけー!!
肩を震わせて泣く一同。
古代:徳川太助、君の勇気に我々ヤマト戦士は感謝と敬意を表します。
敬礼!!
泣きながら敬礼する一同。
山崎:お前の分まで、絶対にヤマトを・・・守ってみせる。太助!安心してくれ!
〜ヤマト・第一艦橋〜
次郎:太助さんは?
揚羽:(首をふる)
相原:そんな、、、。
太田:あいつ、オヤジさんの後を継いで機関長になるんだって、張り切ってたのに・・・。
次郎:(うなだれて涙を流す)
第一艦橋に戻ってくる古代、真田、山崎。
古代:みんなどうした!
揚羽:だって、太助先輩が死んじゃったなんて・・・わたし・・・。
古代:だからどうした!
次郎:そんな言い方ないじゃないですか!艦長は悲しくないんですか?
山崎:島!艦長に失礼だぞ!
次郎:ですが・・・!
古代:次郎!早く発進準備にかかれ!
艦長室に上がっていく古代。
次郎:ひどいぜまったく!艦長がこんなに冷たい人だとは思いませんでしたよ。
真田:次郎、言葉が過ぎるぞ。
揚羽:じゃあ、真田さんは平気なんですか?
真田:仲間が死んで、平気な奴がいると思うか?
揚羽:・・・。
山崎:艦長が一番泣いておられた。きっと仇をとってやると言っていた。
悲しいとき男は人知れず黙って泣くものだ。古代さんという人はそういう人だよ。
涙を必死にこらえている山崎。しかし、握っている手袋は涙でぬれている。
次郎:機関長・・・。
艦内アナウンス
古代:艦長の、古代だ。みんな聞いてくれ。我々は・・・尊い・・・犠牲の上に・・・
涙でかすれる古代の声
古代:・・・今を生きている。それを忘れるな!そして、彼らの分まで生き抜いて欲しい。
艦内アナウンスを聞きながら泣く乗組員たち。
〜ヤマト・第一艦橋〜
艦長室から艦長席で降りてくる古代。
次郎:艦長・・・。
古代:次郎、太助の為にも俺達は行き抜くんだ。死んじゃダメだ、絶対に死んじゃダメだ!
次郎:古代艦長・・・(涙をぬぐう)
古代:(涙をこらえながら)ヤマト、発進準備にかかれ!
泣きながら敬礼する一同。
山崎:補助エンジン動力接続。
機関部員:補助エンジン動力接続。
山崎:補助エンジン低速回転1600。両舷バランス正常パーフェクト。
山崎:シリンダー内圧力50%。
次郎:微速前進0.5
ガルマンガミラス星から浮上していくヤマト。
山崎:波動エンジン内シリンダーへの閉鎖弁オープン。波動エンジン始動5分前。
波動エンジン内圧力上昇、エネルギー充填90%。
次郎:補助エンジン最大速力、上昇角30度。
山崎:波動エンジン内エネルギー充填120%、フライホイール始動。
次郎:波動エンジン点火10秒前。
10、9、8、7・・・
大気圏へ向け上昇するヤマト。
次郎:4、3、2、1、フライホイール接続、点火! ヤマト、発進!
メインエンジンを噴射するヤマト。
第一艦橋メンバーの決意の表情。
次郎:全艦異常なし、大気圏内航行、主翼全開。
ガルマンガミラス星の大気圏を抜けるヤマト。
古代:(待っててくれよ、ユキ、タケル!)
次郎:(太助さん、絶対に仇はとりますからね。)
〜デスラー艦・艦橋〜
デスラー:我々もヤマトに続け!
出撃して行くガルマンガミラス艦隊。ヤマトの後に続いて上昇する。
〜ヤマト・第一艦橋〜
古代:次郎、サルガッソーの前方80宇宙キロへ向けてワープだ。
次郎:了解!
ワープアウトするヤマト。
ヤマトに続き、ワープアウトするガルマンガミラス艦隊。
次郎:ワープ終了!
揚羽:前方にサルガッソー出現。
真田:いよいよ来たな。
古代:偵察隊、出撃!
コスモタイガー隊が次々に出撃して行く。
〜ヤマト・第一艦橋〜
設計図を見ながら説明を始める真田。
真田:これがタラン副総統からもらったガルマンガミラスの技術だ。
サルガッソーの磁場を無効にする装置AMS(ANTI MAGNETIC SYSTEM)だ。
やはり大した科学力だ。早速これをコスモハウンドに搭載した。
古代:空間騎兵隊を出動させよう。
〜コスモタイガー・加藤機〜
加藤:こちら加藤、こちら加藤。サルガッソーの重力場の影響を受けるギリギリの圏内まで
偵察します。
真田:人工サルガッソーを作り出す磁場発生装置があるはずだ!
加藤、磁場が強くなったら敵の装置が近いということだ。
コスモハウンドで空間騎兵隊を行かせる。
〜コスモハウンド〜
古野間:コスモハウンド、発進準備OK。
真田:コスモタイガー隊からの連絡があるまで、中間地点で待機してくれ!
古野間:了解!
〜スサノオ帝国連邦・デスヤマト艦内〜
ミコ:ココナラダイジョウブ。ツカワナイヘヤ。
トチロー:この子はスサノオ人だな?
ユキ:タケルと心の中で会話が出来るようで・・・。
タケル:ミコちゃんは、テレパシーで話せるんだ。
トチロー:ミコ?まさか・・・。
ミコ:テレパシー?
ユキ:ええ、心と心で話せることよ。
トチロー:つまり息子さんもテレパシーが使えると言うことだ。
タケル:僕も?
〜スサノオ帝国連邦・軍作戦司令本部〜
エノラ:広いデスヤマトですが、隠れる場所は多くはありません。
ラシーヌ:見当はついているのか?
スサノオ兵:先日、ミコ様がデスヤマトを見学されたいと申されまして、その時に見た部屋を
隈なく当たっております。
ラシーヌ:そうか。
〜デスヤマト艦内〜
スサノオ兵:今度は下を当たれ!もうそんなに隠れる部屋はないはずだ!
階段を駆け降りるスサノオ兵たち。
〜デスヤマト艦内〜
トチロー:このままじっとしているわけにもいかない。逃げるための船を確保する。
ユキ:見つかってしまうわ!
タケル:おじちゃん、僕も行くよ。
トチロー:??
タケル:僕だっていつかはヤマトに乗るんだ!
トチロー:(ニヤリと笑って)おもしろい坊主だな。
タケル:(ニコニコしている)
ユキ:タケル・・・。
トチロー:ユキさん、大丈夫さ、この子なら。
ユキ:(頷く)
トチロー:良かろう!こっちだ!
部屋を出て走り出すトチロー。後を追うタケル。
ユキ:タケル・・・。
〜コスモタイガー・加藤機〜
加藤:こちら加藤。サルガッソー磁場発生装置を発見!
現在地、距離ヤマトより70宇宙キロ。C座標Kブロック2度20分。
〜コスモハウンド〜
古野間:こちらコスモハウンド、古野間。了解、至急そちらへ向かう!
〜ヤマト・第一艦橋〜
真田:加藤!坂本!その近くに敵艦が潜んでいる可能性もある。気を付けろ!
〜コスモタイガー隊〜
加藤、坂本:了解!
坂本:聞いたか椎名?やっと怪我が治ったんだ。慎重にな!
椎名:坂本先輩、ご心配ありがとうございます!
坂本:え?いや、はい、どうも。(なんだ?あいつ別人みたいだな。)
椎名:(もうあんなヘマして隊長に迷惑なんかかけられないもの。)
加藤:全機、コスモハウンドの援護にまわれ!
〜ヤマト・第一艦橋〜
古代:次郎!サルガッソーが消滅したら、一気にバウンダリーに突入する!
次郎:はい!
〜コスモハウンド〜
古野間:こちら古野間。サルガッソー磁場発生装置を確認。これよりAMS作動準備に
かかります。
池垣:卓!行くぜ!
古野間:はい!
宇宙空間に飛び出す空間騎兵隊。サルガッソー磁場発生装置に近づく池垣と古野間。
宇宙空間から飛び出してくる敵戦闘機。古野間達を攻撃してくる。
BAHYUNN!!! BAHYUNN!!!
古野間:きやがったなー!!
BAHYUNN!!! BAHYUNN!!!
N:徳川太助が死んだ。しかし、それはヤマト乗組員に新たなる決意を生んだ。
宇宙の平和を勝ち取るために、絶対に生き抜くのだと。
スサノオ帝国の仕掛けたサルガッソー磁場発生装置を発見したヤマト。
果たしてサルガッソーを消滅できるのか。そしてトチローとタケルは・・・。
敵戦闘機の攻撃を受ける空間騎兵隊の運命は・・・。
つづく